
Xの「おすすめ」はなぜ変わったように感じるのか
最近、Xのおすすめタイムラインに表示される投稿の傾向が変わったと感じることはないでしょうか。 その背景として、X側のアルゴリズムの変更が関係している可能性があります。 2025年11月には、イーロン・マスク氏が「Following」タブの投稿をGrokでランキングしている旨を投稿しました。 さらに2026年1月には、X EngineeringがGrokベースの推薦システムに関連するコードを公開し、Thunder / Phoenixといった構造が公開されました。 これらの仕組みを完全に理解する必要はありませんが、X側が「どのような投稿を、誰に届けようとしているのか」という考え方を知ることは、今後のSNS運用を考える上で重要になってきます。 本記事では、技術的な実装を深掘りするのではなく、SNS運用者が押さえておきたいポイントに絞って整理します。
※2026年5月時点の記事です。
※公開されているのは推薦システムに関連するコードや構造の一部であり、実際の本番環境で利用されている全てのアルゴリズムが公開されているわけではありません。
Xのアルゴリズムはどう変わったのか
Xではこれまでもアルゴリズムの調整が継続的に行われていましたが、2025年後半から2026年にかけては、これまで以上に「Grok」を中心とした推薦システムへの変化が見えるようになってきました。 中でも注目されたのが、イーロン・マスク氏による投稿と、X Engineeringのアカウントによるアルゴリズムの公開です。
Grokによるランキングが明示された
2025年11月、イーロン・マスク氏はX上で、「Following(フォロー中)」タブの投稿をGrokがランキングしている旨を投稿しました。 これまで「Following」は、時系列に近い形で表示されている認識を持つユーザーも多くいましたが、この投稿からは、フォロー中タイムラインにおいても、一定のランキング処理が行われていることがうかがえます。
また、従来どおりの時系列表示も選択可能とされており、完全に時系列が廃止されたわけではありません。 ただし、この発言によって、Xの表示順にGrokが関与していることがより明確になりました。
For Youアルゴリズムもオープンソース化
さらに2026年1月には、X Engineeringが新しい推薦アルゴリズムをGitHub上で公開しました。
公開された内容によると、For You(おすすめ)タイムラインでは、Grokと同系統のTransformer architectureを活用したランキングシステムが採用されていることが確認できます。
また、その中では「Thunder」「Phoenix」という構造・リポジトリも公開されていました。 簡単に整理すると、
- Thunder:フォロー中アカウントの投稿候補を集める
- Phoenix Retrieval:フォロー外から興味がありそうな投稿を探す
- Phoenix Ranking:集めた投稿を順位付けする
といった役割分担になっています。
これまでのXアルゴリズムは、「いいね数」や「リポスト数」など、エンゲージメントベースの“加点式”というイメージで語られることも多くありましたが、一方、今回公開された構造を見ると、単純な加点だけではなく、
- ユーザーが普段どんな投稿を見ているか
- どんなアカウントへ反応しているか
- 今の興味関心に合っているか
といった文脈を含めて、従来よりも「ユーザーごとの興味関心」や「投稿との相性」を重視する、文脈理解型・反応予測型へ寄っていると考えると、現在の変化を理解しやすいかもしれません。
Thunder / Phoenixとは何か

オープンソース化されたGitHubリポジトリでは、「Thunder」「Phoenix」という名称の構成が確認できます。
これらは、Xのヘルプセンターなどで一般ユーザー向けに説明されている名称ではありませんが、公開コード上では、投稿候補の取得やランキングに関わる仕組みとして整理されています。
大枠としては、
- どの投稿を候補として集めるのか
- 集めた投稿をどの順番で表示するのか
という役割を分けて考えると理解しやすくなります。
Thunderはフォロー内投稿を集める仕組み
Thunderは、フォローしているアカウントの投稿候補を集める役割を持っています。 自分が普段フォローしているアカウントの投稿を取得する部分です。
これまで「フォロー中タイムライン=時系列」というイメージを持つユーザーも多くいましたが、現在は単純な新着順だけではなく、Thunderによって取得された投稿をもとに、一定のランキング処理が行われていると考えられます。
そのため、単純にフォロワー数だけではなく、
- 普段どのような反応をされているか
- どんな投稿へ興味を持たれているか
といった点も、表示に影響している可能性があります。
Phoenix Retrievalはフォロー外投稿を探す仕組み
一方、Phoenix Retrievalは、フォローしていないアカウントの中から、興味がありそうな投稿を探す役割を持っています。 For You(おすすめ)タイムラインでは、知らないアカウントの投稿が表示されることがありますが、その候補を探しているのがPhoenix Retrievalです。
イメージとしては、「まだフォローしていないが、この人なら興味を持ちそう」という投稿を探す仕組みに近いです。
つまり現在のXでは、フォロワー数だけではなく、
- どんなテーマを発信しているか
- どんなユーザーから反応を得ているか
- どのコミュニティ・興味関心と近いか
といった文脈も、フォロー外へ広がる上で重要になっている可能性があります。
Phoenix Rankingは投稿を順位付けする仕組み
ThunderやPhoenix Retrievalによって集められた投稿候補は、最後にPhoenix Rankingによって並び替えられます。
- いいねしそうか
- 返信しそうか
- 長く見そうか
- プロフィールへ移動しそうか
など、さまざまな反応確率を予測しながら、表示順を決めていると考えられています。
従来のように、単純なエンゲージメント数だけを見るというより、 「このユーザーに今合っているか」 を含めて順位付けしている点が、現在のXアルゴリズムの特徴と言えるかもしれません。
おすすめタイムラインはどう作られているのか

ここまでで紹介したThunder / Phoenixは、Xのおすすめタイムライン(For You)を作るための仕組みの一部であり、実際の推薦システムはさらに複雑ですが、大まかな流れとしては、
- 投稿候補を集める
- 不要な投稿を除外する
- ユーザーごとに順位付けする
というステップで構成されていると考えられます。
①候補投稿を集める
まず最初に行われるのが、表示候補となる投稿の収集です。
ここでは、
- フォローしているアカウントの投稿
- フォローしていないアカウントの投稿
の両方から候補が集められます。
特に現在のXでは、フォロー外からの推薦も大きな役割を持っていると考えられています。
そのため、「フォロワーにしか届かない」というより、
- 過去にどんな投稿へ反応したか
- どんなテーマに興味を持っているか
- どんなアカウントを見ているか
など、ユーザーの行動履歴や興味関心をもとに、おすすめ候補が選ばれている可能性があります。
②不要な候補を除外する
投稿候補が集められた後は、不要な投稿の除外が行われます。
例えば、
- スパム投稿
- 重複投稿
- ブロック・ミュート済みの投稿
- 低品質と判断される投稿
などは、表示候補から除外される可能性があります。
Xのヘルプセンターでも、有害・不快・スパムと判断されるコンテンツを抑制する旨が説明されています。
そのため、短期的なインプレッションだけを狙った投稿や、過度なエンゲージメント誘導は、長期的な目線では逆効果になる可能性もあります。
③Grokベースのモデルで順位付けする
最後に、集められた投稿候補を順位付けする処理が行われます。
ここでは、Grokと同系統のTransformer architectureを活用したモデルによって、
- いいねしそうか
- 返信しそうか
- 長く閲覧しそうか
- プロフィールへ遷移しそうか
など、さまざまな反応確率を予測していると考えられています。
ただし、ここで重要なのは、「Grokが全てを判断している」という単純な話ではないという点です。
実際には、投稿候補の収集・除外・ランキングなど、複数の仕組みが組み合わさった推薦システムとして動いていると見られます。
また、「絶対評価」というより、
「このユーザーに今合っているか」
という文脈を踏まえたランキングに近いと考えると理解しやすいかもしれません。
従来の評価方式が完全になくなったというより、反応確率の予測やスコアリングを行いながらも、よりユーザーごとの文脈を踏まえて表示順を決める方向へ進んでいる、と考えられます。
企業のX運用への影響と、今後見直したいポイント
ここまで整理してきたように、Xのおすすめタイムラインは、単に投稿の反応数だけで表示順が決まるものではなく、ユーザーごとの興味関心や文脈を踏まえて投稿が届けられていると考えられます。 ここからは、企業アカウントの運用において見直したいポイントを整理します。
アカウント全体の一貫性が重要になる
単発で伸びる投稿を作るだけでなく、アカウント全体として何を発信しているのかも重要です。
投稿ごとにテーマが大きく変わると、ユーザーにとっても「このアカウントをフォローする理由」が見えづらくなります。
今後は、投稿単体の反応だけでなく、
- どんなテーマを継続して発信するのか
- どんな世界観を持つアカウントなのか
- どの興味関心を持つユーザーに届けたいのか
を整理した上で、運用設計を行うことが重要になります。
誰向けの投稿かを明確にする必要がある
投稿内容に悩む場合、まず整理したいのは「何を投稿するか」ではなく、誰に届けたい投稿なのかです。
同じ内容でも、届けたい相手によって切り口は変わります。 例えば、商品情報を発信する場合でも、既存の顧客に向けるのか、まだブランドを知らない層に向けるのかで、伝え方は大きく変わります。
X運用では、投稿テーマ・ターゲット・文脈を明確にすることで、ユーザーにとってもアルゴリズムにとっても「何の情報を発信しているアカウントなのか」が伝わりやすくなります。
アルゴリズムは日々変化する
Xのアルゴリズムは、今後も継続的に変化していくと考えられます。
そのため、「この方法なら必ず伸びる」といった攻略法に依存するのは危険です。
仕様変更のたびに表面的なテクニックを追いかけるのではなく、変化があってもブレにくい運用方針を持つことが大切だと考えています。
最終的に重要なのは、アルゴリズムに合わせることそのものではなく、届けたい相手に、適切な情報を届け続けることです。
まとめ
アルゴリズムに依存しない運用設計へ
Xのアルゴリズムは今後も変化し続けると考えられます。だからこそ、特定の攻略法や短期的なテクニックだけに依存するのではなく、誰にどんな価値を届けるのかを軸に、運用全体を設計していくことが重要です。
単発で伸びる投稿を狙うことも重要ですが、それだけではアカウントとしての一貫性や、ユーザーとの継続的な接点は生まれにくくなります。
投稿テーマや世界観、ターゲットとの関係性を整理しながら、変化があってもブレにくい発信の軸を持つこと。これが、これからのX運用において重要な考え方になるでしょう。
SNS運用の見直しにお悩みなら、ぜひご相談ください
Xをはじめ、SNSの仕様やアルゴリズムは日々変化しています。
その変化に対応するためには、短期的なテクニックだけでなく、誰に・どんな価値を・どのように届けるのかという運用設計が重要だと考えています。
RFAでは、ブランドやターゲットに合わせたSNS運用設計から、投稿企画、改善提案まで支援しています。
- 最近、SNS投稿の伸び方が以前と変わった気がする
- 何を基準に運用を見直せばよいか分からない
- 投稿の方向性や企画に悩んでいる
- アルゴリズムやトレンドを踏まえた運用をしたい
このようなお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。



